2011年5月17日火曜日

不二家とペコちゃん




日曜日には、家族で不二家に行って、サンデーを食べるというのが、昭和の時代の子供達にとって、ちょっとした贅沢だった。
当時は、のどが渇いたら水道の水を飲めと言われ、甘いお菓子や清涼飲料水も今のように巷に溢れていたわけではない。
チョコレートのかかったアイスクリームは、見ただけで子供心をくすぐる非日常アイテムであった。
そして、普通は前を素通りするだけの不二家の前では、このペコちゃんのポップドールが必ず立っていた。
たまの日曜日、至福の時を過ごして店を出るとき、コツンとペコちゃんの頭をこづくと、ふらふらとしばらく揺れ続け、見送ってくれる姿が印象的であった。
ペコちゃんは、女の子だが、このほかにボーイフレンドなのか兄妹なのかポコちゃんという男の子も居た。
まだファミレスのない時代、贅沢なデザートの食べられるレストランとして確固たるブランドを築いていたが、道路沿いに次々にファミレスができるような時代になると競争も激しくなり、国民生活が豊かになるにつれて、少年も成長し、不二家への憧れはだんだん薄くなっていったように思う。
昭和の時代、ケーキやミルキーで親しまれた国民的ブランドも平成に入ると賞味期限切れの事件が明るみに出るなどネガティブな部分も報道され、ブランドも傷ついた。
昔は食べて美味しく食べられれば賞味期限なんて気にしなかったよね~、と時代の変遷を想うとともに、今ものんきに揺れるペコちゃんの笑顔は、昔のまま心の中に大事にしまっておきたいワンシーンになっていったのだった。


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