2011年4月29日金曜日
山口百恵
昭和というのは山口百恵が居た時代なのだと思う。
終戦直後では美空ひばりだったのだろうが、戦後生まれの世代において年齢を超えて歌が共通の話題になれた一時期を牽引した大物だった。
としごろでデビューした中3トリオの当時から、きわどい歌詞を堂々と歌う彼女は他のライバルたちとは次元が違った。
その瞳はどこか新人の頃から大人びていて、遠くを見つめていた。
キャピキャピしたアイドルとは、どこか違っていて、歌っても映画に出ても、さらに文章を書いても自分自身の世界をもっていることが感じられた。
こうした世界観は阿木陽子の詩の世界と共鳴しながら彼女を大人の歌手にそして女にしたてあげたと言えるだろうか。
そして、人気絶頂にありながら、映画に共演した三浦友和との結婚により、表舞台からはキチンと引退して、家庭に入る。
キャンディーズのようにそれぞれの世界で芸能界に再登場もしない。引退してからは彼女の姿を見ることは息子の運動会を見に来る母親の姿くらいで、芸能界には、縁遠い生活のようだ。
芸能人に限らず、引退したら、のこのこ以前の世界に顔を出さないほうが、潔い。
人生の美学は引き際にあるといえるだろう。
華やかな世界をきっちり引退したことで山口百恵は鮮やかな記憶として日本国民の中に行き続けているともいえるのではないだろうか。
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