昭和の時代、パチンコ台は実にシンプルだった。
はじくのも手の力とバネ次第、玉の流れを左右する釘も、まったくアナログで、入った時に玉の出る仕掛けもすべて重力だけで稼動していた。
その昔、少年は新装開店で廃棄になった台を家に持ちかえっては釘をいじったりしながらチーン、じゃらじゃらと夜な夜な遊んでいたら、隣のおじさんはパチンコ屋が開店したかと不思議がってやってきた。
電気を使わないパチンコは機械的な要素が多く、特に中心部にあるオレンジ色の花びら、いわゆるチューリップという仕掛けは秀逸だった一度玉が入ると開き、花びらを開かせ入りやすくするというスグレもので、くるくる回る風車とともに動的要素の少ない台に彩りを添えていた。
小さい時に研究していたせいか、大人になって解禁される年頃にはパチンコというものに興味がなくなってしまったのは、今、思うと自分にとっては単に機械的なおもちゃだったということなのだろうか。
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