2011年4月23日土曜日

三菱 雷電




昭和のムチムチアイドルといえばこの機体が外せないだろう。
日本の軍用機には、珍しいずんぐりむっくりのセクシー系のファイターである。
どうしてこのような宮崎美子や河合奈保子のような戦闘機が出来上がったのだろうか。
戦争中の飢餓感からくる、飽食への憧れが戦闘機設計者に胴体の太い戦闘機を作らせた・・・わけではない。
実のところ雷電の、このくびれのないむっちりしたボディは、航空界でもセクシー系とは呼ばれておらず、紡錘形と呼ばれるものであった。
爆撃機用の大きな火星エンジンを包み込んだカウルを先端で絞り、その後の胴体を自然な流線型に整形してゆくと、この紡錘形が出現するのだ。
当時はこれにより空気抵抗が低減され、速度性能が向上すると考えられていた。
しかし、結果は思ったほどの抵抗軽減には至らず、前方視界不良といった弊害がクローズアップされてしまいパイロットからは不評を買った。
一方の中島系の技術者たちは、もっとスリムな女性、否、飛行機が理想と考えていたようだ。
特に一般流速よりも速いプロペラ後流のなかに太いボディをさらすべきではないと考え、極力、胴体は細らせた。それは二式戦の鍾馗と比較してみればその差は歴然である。
戦闘機には母性を求めるよりも、日本刀のごとき研ぎ澄まされたムダの無さが求められていると考えたのだろう。
いずれにせよ、スタイルをよくするキーワードは小顔。
すなわち頭自体を小さくすることが一番、効果的であり、2000馬力空冷エンジンをコンパクトにした誉を積んだ、疾風は中肉中背のプロポーションの良いナイスバディとなった。
 
 

0 件のコメント: