2011年6月6日月曜日
PC9801
パソコンがまだ業務で使うには懐疑的だった時代。
社内にはPC8001があるにはあった。
しかし既存で動くビジネスソフトも少なく、使っていたのは他のシステムがなければ勝手に立ち上がるROM BASICだった。
せいぜい辞書ディスクと文書ディスクを交換しながら、ワープロソフトで文書をつくるのが関の山。
それも手書きに自信のない一部の人たちが愛好していたに過ぎず、達筆な諸先輩方からは手で書いた方がよっぽど速いのに!と陰口を叩かれながらである。
そんな調子だから、社内のパソコンは昼休みにゲームをしたり、BASICで図形を描いたりと遊びに使われることが多く、一部の卓越したプログラミング技術を持つ者以外、このパソコンを使って業務に結果を出している者は少なかったのである。
しかし、それまでの8bit機パソコンにかわり、1982年になって登場した実用16bit機が、このPC9801であった。
このPC9801が投入され、多くのアプリケーションソフトが漢字ROMを搭載したNECのDOSベースに開発されるようになると事態は一変する。
一部の分野において仕事においてもパソコンは不可欠な時代になったのだ。
そして、この後、NECは他のメーカーを圧倒、独占的な地位を形成しPCといえば98という一時代を作り上げてゆく。
オリジナルの無印98のあとも、9801の後にいろいろな記号がつけられバリエーションが増殖、デスクトップからラップトップさらにはノートまでキューハチはパソコンの代名詞と化してゆく。
技術系の業務においてもMS-DOSが必須科目となり、config.sysを書き換えるのにエディターを使ったり、少ないメインメモリの中にいかにプログラムを収めるかなどに苦労させられることになった。
国内ではこの98時代が長く続き、Macなどの異色で高嶺の花を横目でにらみつつも、お仕事は98で・・・がパソコン界の王道であった。
だがOSはMS-DOSからWindowsに、さらにメモリ、CPUといったハードの格段の進歩により漢字ROMのアドバンテージは消滅、国際標準と呼ばれるDOS/Vマシンの登場により、もはやNECの優位性は崩れ、どれもこれもがWindowsを載せた各メーカーのDOS/Vパソコン百花繚乱の時代を迎える。規格が統一されてしまえば、あとは流通を制したものが勝者となる。安い部品を組み合わせDellなどに押されてゆくことになった。
そして今となってはPC98なんて知らない世代も多く、知っていても98というと、パソコンよりもOSのWindows98を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
だが、確実に国内標準を達成し、一時代を作ったパソコンの元祖が、このPC9801ではないかと思うのである。
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