むかし、むかし遠く沖縄には南西航空という航空会社がありました。
本土復帰も今はむかし、平成の世にあっては、あからさまにJALの傘下として鶴丸をつけ、日本トランスオーシャン航空に改名、JTAの略称で呼ばれておりますが、かつて、その独特なオレンジ色主体の機体塗装は、南国沖縄を飛ぶ翼に相応しいトロピカルな仕様でございました。
B737のオーバーヘッドビンに手の届かない小柄なCAが、専用ツール”孫の手”を使って、頭上の収納を開けていた、おぼろげな記憶がございますが、あれは幻だったのでしょうか。
そして、特筆すべきことに、この機内誌のコーラルウェイが、ございました。
親会社のJALの面白くもおかしくもない機内誌を尻目に、青い空、白い砂浜に椰子の葉・・・エキゾチックな魅力を放っておりました。
日本復帰はしたものの、まだ、いたるところに米軍統治時代のかの地独特の風情を漂わせ、珊瑚でできたまっ白い砂浜にはビキニのお姉さまたち飛び跳ね、マリンレジャーを楽しむイメージが、たくさん登場していました。国内では天国に一番近い島、そうした刷り込みがなされた瞬間でありました。
この表紙などは、なんと、もとキング・カズの奥様だった、設楽りさ子嬢であります。
海からあげた網には、持ち上げられないほどの獲物が・・・カタもなかなかのアカジンミーバイでしょうか。
遊びで捕る魚にしては値段も高いお魚たちで、ニコニコ写真撮ってないで、鮮度の高いうちに市場へ・・・というお馬鹿な心配までしてしまいそうですが、ナイスバディな設楽嬢が、水着で漁業をしている構図はまことに新鮮で、海草を持って写った松坂慶子嬢を彷彿する衝撃映像でございます。
このコーラルウェイ、当時は、搭乗客へのサービスとして自由に持ち帰れたため、南西航空の利用者の部屋には大体、コーラルウェイが揃っていたものであります。
今では有料になり、紫外線に肌を焼かない当世の世相から露出度の高いビキニのお姉さまはすっかり姿を潜め、男性諸氏にとってはやや物足りなさを感じないわけではありませんが、鶴丸復帰で、JAL化する社内でも、異彩を放ち地域の話題を扱う貴重な資料として、今日でもCORALWAYは続いております。オニヒトデに食われることなく、今後も死守していただきたい機内誌でございます。